全知全能の王『ギルガメッシュ』

ギルガメッシュ、ビルガメッシュ、ビルガメスとも呼ばれるが、いずれも「先祖は英雄」という意味の名前。 古代メソポタミアシュメール文明初期の王。 

メソポタミア神話の『ギルガメッシュ叙事詩』の主人公として描かれ「全てのものを国の果てまで見通した」「全てを味わい全てを知った」「知恵を極めた」「深淵を覗き見た」人といった表現をされている。 

 容姿  

父は王ルガルバンダ(または夢魔)、母は女神リマト・ニンスンで、2:1で神多めの半神半人。 知恵を極めたという表現があるが、天空神「アヌ」大気神「エンリル」水神「エア」というシュメールの最高神三人から知恵を授かったという。 また太陽神「シャマシュ」から美しさを気象神「アダト」から雄々しさを授かり、また女神「ベレト・イリ」が『完璧に作った』という。  

またこれらにも諸説あり、女神の名は出ずに『偉大な神々が形造った』また『シャマシュから雄々しさを授かった』という話もある。 いずれにせよ『神が最高の姿をギルガメッシュに与えた』のは変わりない。


 性格 

また力が強く、パワータイプであった。 森に住む神の使いであるフンババ討伐の際には15㎏ある黄金の短剣や90㎏の斧、巨大な弓を携えつつ300kgの武装で身を固めたとされる。  

さらにグガランナ退治の際は弓と211.5㎏の剣と210㎏の斧を扱った。 そしてそんな重い武器を見事に扱い、さらには武器なしの素手試合も長けていたという。  

神であり武神である彼だが性格はよく笑いよく泣き、またよく祈る、喜怒哀楽の激しいきわめて人間臭い人物だったされる。 しかし『良い人』かと言われるとそうでもなかった様。 強さゆえに傍若無人、無人というよりも人が居るからこその絶対的なわがまま暴君だった。 その為民には恐れられていた。 

 親友エンキドゥ  

彼のわがまま振りを見ていた天空神アヌ(ギルガメッシュに知恵を与えた一人)はそれを見かね『自分と同等の存在が居ないからだ』と女神アルルに同等の力を持った者を作るように頼んだ。 それでできたのが「エンキドゥ」。

エンキドゥとはシュメール人に知恵、またシュメール人と交わった『ニビル星人』の先導者『エンキ』から取られたとされる。諸説あり。 

生み出された彼は知恵と力を持ち、「自分と同じような強い仲間が欲しい」と会いに行き、殴り合いが始まった。ギルガメッシュとエンキドゥは全身全霊で大熱戦を繰り広げ、お互いの力を認めで唯一無二の親友となった。 それからギルガメッシュは穏やかになり、民から愛される王となったのだ。 

 夢を見る 

ギルガメッシュは良く夢を見る。そしてそれが未来の預言になることが度々あるようだ。 そのため占いや神託はよく行った。 ギルガメッシュと死 諸説あるが、ギルガメッシュは長寿でなかったという。死ぬ前に冥界の夢を見た際、「人として死の運命からは逃れられないが、たとえ死んでも冥界でエンキドゥと再会し、神々の1人に数えられることになるだろう」と語った。夢から覚めたギルガメシュは墓の鋳造に取り掛かり、民や家族に嘆き悲しまれながら息を引き取った。 

また死後は神格化されて冥界神として崇められた。 


 この叙事詩にはあまりにも異形な存在は居ない。精々巨大な牛である。 ギルガメッシュも『人間』の形をしており、余りにも長寿という訳でも、余りにも神秘という訳でもない。最強の一人ぼっちが親友を見つけ、戦いや政治として国を守り、親友の死に苛まれ、自分の死を受け入れる話である。 人間臭く、親しみやすい。 また実際にいたとされる王を基にすることによって「神話」なのか「歴史」なのか曖昧で、もしかしたら本当に神という存在が近くにいた時代があったのかもしれないと思わせてくれる。

資料室

文明、歴史、神話について。 事実、憶測、考察などなど。

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