ゴーレム

ユダヤ教の伝承に登場する自律式泥人形。ヘブライ語で胎児、無形のもの、未完成のもの
、蛹、ダミーなどの意味合いで使われる。
また作ると無造作に巨大化するため神話では巨人とも混合される時が多く、見分け方としては生身かどうか、意思があるかどうかだが、ギリシャ神話の鍛治の神ヘパイストスによって作られたタロスという青銅の巨人がいるが、それはゴーレムだと言われている。

作った主人の命令だけを忠実に実行する。
ユダヤに伝わる秘法「カバラ」を修めたラビ(律法学者)によって作り出される。
まず断食や祈祷などの神聖な儀式を行い、その後に土や泥をこねて人形を作る。ゴーレムを作った後は、神や命を意味する呪文を唱えた後、ゴーレムに「אמת(emeth)(心理)」を書く、またはそれを書いた羊皮紙を貼り付ける。そしてゴーレムを破壊する際は「emeth(אמת)」の最初の文字を消し、「meth(אמ)」死という言葉にする。
だが伝承によってはどんなに木っ端微塵に破壊しても33年後には復讐のために復活する。

またゴーレムの身体にはシェム・ハ・メフォラシュ(shem–ha–mephorash)を刻むという。これは旧約聖書出エジプト記14章の第19節を縦書きで下から上に書き、その左に第20節を上から下に、その左に第21節を下から上に綴り、それを横に読んだ三文字の単語の総称(ヘブライ文字で書くと、19、20、21節とも各々72文字になるため三文字の単語が72語できる)

プロイセン地方の伝承ではエリヤ・ヘルムとヤッフェという二人のラビがゴーレムを正式な礼拝の人数合わせに使おうと議論した結果、彼らのゴーレムがは見るもの全てに火をつけ始め、簡単な命令すら理解できていなかった。
製造すると自然に巨大化するとされており、ある伝承ではゴーレムを作ったはいいが大きくなりすぎた為、額の文字に手が届かなくなった。そこで男はゴーレムに自分のくつを脱がせるように命じ、ゴーレムがしゃがんだときに額の文字を消した。
その途端ゴーレムは大量の粘土となって男の上に崩れ落ち、男を圧死させた。

旧約聖書「創世記」の天地創造においてアダムもヤハウェによって土に鼻からルーアハ(精霊)を吹き込まれた事から、アダムもゴーレムなのではと言われている。
アダムの名の由来は土、ヘブライ語としての末尾には血という言葉がつく。
アドナイ(主、おそらく神)によって土と息吹から作られ、エデンの園を耕し守るために置かれた。
これらの事からユダヤ教においてゴーレムの創造とは神の真似事、また神への冒涜とも受け取れる儀式でもあり、またカバラを極め尽くした者だけが許される奥義でもある。

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