メタトロン

偽典エノク書ではエノクが天に昇りメタトロンになったとされ、またサンダルフォンの双子の兄弟だとされる。また大天使ミカエルより強大で、神と同一視する声もある。
その語源は複数あり、メタトロニオス(metathronius)ギリシア語で玉座に座る者、「ミトロン(mittron)」ペルシャ起源の東方神「ミトラ」とするものもある。ミトラ神とは「ミトラス」「ミスラ」として信奉された司法神で、地位はゾロアスター教最高神であるアフラ・マズダーをも脅かす威勢であり、その他似た強さや立ち位置がありその属性が似ている為だという。
また古代ユダヤの偉大な大天使ヨエルの性格を受け継いでいるとも言われ、またヨエルはメタトロンの別名とも言われている。


メタトロンは主にはカバラなどの中世ユダヤ神秘思想や聖書偽典において現れる。その姿は世界の広さに等しい長身で、36対の翼と無数の目(36万5000との説がある)を持ち、炎の柱と示される。
中世ユダヤ神秘主義者のなかには「出エジプト記」に現れる「太陽よりも燦然と輝く」顔を持つ天使こそメタトロンであり、天から炎の柱を使って彼らを導いたという。

聖書以外のユダヤ伝承のなかで、最も偉大とされ、偉大な天使と位置付けられている。
カバラのセフィロトの樹では一番上の第1のセフィラ、ケテルを支配している。
メタトロンという名の他に72もの呼称がある。その中でも極め付けなのが神がメタトロンを呼ぶ時に使った「小YHVH」である。YHVHとは聖書で神の名として示されている文字であり、ヤハウェと読む。つまりメタトロンは天使の枠を飛び越え、神に準ずる存在だと言われているのだ。
しかしメタトロンは聖書の聖典には登場しない。

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