エンキ

エンキ、エア

 祖父が『アプスー』母が『ナンム』、またナンムが姿を変えたのがエンキともされている。

名前の正確な意味は不明だが、一般的に『地の王』を表す。 淡水・知恵・魔術を司る神であるほか、錬金術師であった。 (シュメール語でenは王を意味する)。バビロニア神話では都市エリドゥの守護神『エア』 名前の意味は「生命」「泉」「流れる水」。

地下の淡水の海でエンキの祖父と同じ名のついた『アプスー』の主だったりアッカド人からは「水の家の主」と呼ばれたり『水』『地』に深い関係がある様子。 世界の創造者であり、知識および魔法を司る神。 「メー」と呼ばれる聖なる力の守護者でもある。


ニンフルザクとの間にニンサル、ニンサルとの間にニンクルラ、ニンクラルとの間にウットゥをもうけた。

しかし、エンキは、ニンサル、ニンクルラに対してしたのと同様に、しばらくするとウットゥのもとを去ってしまい、困惑した女神ウットゥは、戻ってきた女神ニンフルサグにそのことを相談した。

ニンフルサグは、エンキの見境のない欲求に憤り、ウットゥに対して、水神エンキの勢力のおよばないよう、川の水辺から逃れるよう言った。そして、ニンフルサグは、ウットゥの子宮からエンキの精を取り出し、土に埋めた。

すると、そこから8種類の植物が芽を出し、みるみると成長した。エンキは、僕である双面のイシムードとともに、それらの植物を探し出すと、その実を食べてしまった。自らの精を取り込んでしまった彼は、あご・歯・口・のど・四肢・肋骨に腫れ物ができた。

エンキは途方にくれていたところ、ニンフルサグの聖なる狐がウットゥを連れ戻してきた。

ニンフルサグの心は和らぎ、エンキの体からアブ(Ab:水、または精)を取り出し、ウットゥの体に戻した。ウットゥからは8つの神

アブー(Abu)

ニントゥルラ(Nintulla:またはニントゥル(Nintul))

ニンストゥ(Ninsutu)

ニンカシ(Ninkasi)

ナンシェ(Nanshe)

エンシャグ(Enshag:またはエンシャガグ(Enshagag))

ダジムア(Dazimua)

ニンティ(Ninti)

が生まれた。



昔、人間が野蛮で無法な生活をしていた時に海から現れ、手工業、耕作、文字、法律、建築、魔術を人間に教えたとされる。 後期バビロニアの文書エヌマ・エリシュによると、神々の父であった『アプスー』は、若い世代の神々に平穏な眠りを乱されたため、彼らを滅ぼそうとした(洪水伝説?)。

アプスーの孫にあたり、当時神々の中で最強であったエンキは、若い世代の神々の代表に選ばれた。彼はアプスーに魔法をかけて深く眠らせたうえ、地底深くに閉じ込めて殺した。 エンキは、世界を豊かに保つ力を『アプスー(祖父)』から獲得し、そのまま地底を住処として、淡水および繁殖を司る神としての役割を継承した。 

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